下3枚以外は全て安藤さんから画像をお借りしました

山梨県 奥秩父・三条沢
2002年10月26日(土)・27日(日)
安藤さん ・にょんにょんさん ・まいまいさん
・かっしぃさん・えび

< ビアマウントで >
きっかけはひょんなとこから・・・詳しく覚えてはいないのだけれど・・・ 2002年9月、【にょんまい山日記】の にょんまいさんたちの掲示板で「じゃあ、○時間後に・・・」って緊急に決定した 東京・高尾山にあるビアガーデン、 高尾山ビアマウントでの集まりでのこと。 翌週、【HeavenSite】の安藤さんと 沢登りを控えているというにょんまいさんたちに思わず「いいなぁ」って言ったんだと思う。 実はこのオフに安藤さんもお誘いしたんだけれど用事があって参加出来なかったらしい。 私のその「いいなぁ」はにょんまいさんたちから安藤さんへと伝わって、次回は一緒にってお誘いをして頂いた! 安藤さんは以前からから本を買ったりレポを見たりして沢をやりたそうにしてる私を 知っていたのでチャンスを与えて下さったのでしょうね。 始めはこの計画にえっ?えっ?って戸惑いを感じ、いや、でも社交辞令かなって半信半疑のまま暫くそのまま時が流れたのだった。


高尾山ビアマウント
< 用具揃えなきゃ! >
沢登りって渓流シューズやヘルメット、ハーネスとかザイルといった登攀具が必要になってくるから気軽にって訳には行かないよね。 なんだか沢登りがちょっと現実的になって来たみたいなんで用具をそろそろ考えないとって思ってきた。 お店に行って聞くのが手っ取り早いんだろうけれど予備知識もなにもなくて言われたまま買うって訳にもいかない。 だってそんなにお金に余裕がある訳じゃあないし。 これっきりかもしれないからそんなに高いの買っても勿体ないしなぁ。 渓流タビでいいかと思ってたけれどWEB友達・【なごぴょんのこべや】 のなごぴょんに渓流シューズの方がいいってアドバイスされて靴は渓流シューズに決めた。 値段も¥7800で思ったよりも高くなかったから(笑) ハーネスは私が行く沢はあんまり必要ないけど余裕があればって程度だったんだけれどやっぱり必要だったら困るから 用意しとかなくちゃなって思った。 あとはネオプレーン製(ウエットスーツの素材)のソックスだとかスパッツにヘルメットか。 週末、山手アルプス(池袋〜高田馬場〜新大久保)縦走をした。 池袋にある秀山荘、 高田馬場にあるカモシカスポーツ、 新大久保にあるICI石井スポーツを回って 結局秀山荘でネオプレーンスパッツ、カモシカスポーツでヘルメットと渓流シューズ、ICI石井スポーツでネオプレーンソックスを購入。 後日、沢用という事だけにしないでクライミングにも使用出来るハーネスを さかいやで購入した。 バラバラだなぁ・・・ (沢登りは秀山荘、クライミングはさかいやが基本と教えてもらった)とにかく初心者なんで何もわからない。 ザイルやガチャ類(登攀具)などの装備は今回は安藤さんにお借りする事になった。 服装は???と次から次へと疑問がわいてくる。 安藤さんやまいまいさんにメールでアドバイスをもらってだいぶ助かった(ありがとうございます) 乾きやすいシャツとズボンに上はゴアのヤッケがいいという事でゴアは雨具と雪山用しか持っていない私は必然的に雨具を着る事になる。


今回揃えた沢用具
< 遡行計画 >
はじめは奥秩父の「ナメラ沢」が候補に上がっていた。 ザイルを必要としない、紅葉を愛でつつのナメ(一枚岩の上を流れるところ)のひたひた歩きがいいんじゃないかと言うことであったけれど詰め (沢の一番奥の部分)が結構キツく、かなりのアルバイトを要するということで日の落ちる時間が早いこの時期には適していないため却下された。 そして選ばれたのが奥秩父・三条沢と青岩谷。 初日、三条沢を遡行し、三条ノ湯に泊まって翌日、青岩谷へ転進し、あわよくば雲取山山頂を踏む、という事になった。 三条沢へ行くには長い後山林道を詰める。 車で行く訳だが駐車スペースが無かった場合も考えて青梅街道をもう少し進んだ先にある竜喰谷も候補にあげられた。 こちらは長いので遡行終了後に三条ノ湯は厳しいからこちらの谷になった場合は日帰りに変更するという 様々なケースを想定して計画をたてた。 (安藤さん、さすがです) 早速、白山書房から出ている「東京周辺の沢」という本を購入。 この本に3本の沢が掲載されている。 遡行図を見た感じでは三条沢が他の2本の沢よりもずっと易しそうだ。 唯一登れない銚子の滝と書かれている。 「あっ、あの滝はやっぱり登らないんだ」とちょっとホッとした。


今回お世話になった本

< 遡行当日・青梅 >
JR青梅駅に7時前に集合。WEB上のみでのお付き合いだった安藤さんとはこの日が初対面。 「はじめまして」と挨拶。 安藤さんはきっと私の体格を見て即座に「ガチャガチャガチャ チーン!」と計算したことだろう。 「あ、こりゃ遅いな」って(笑) 行く前に私はびっくりしないように自分の巨大な体型について教えておいたけれど いつも言っている事がオーバーだと捕えられてしまってなかなか真実が伝わらない。 その結果、やはりみなさん、私の巨大な体型を目の当たりにして驚く(笑) 「いくらなんでもそこまで大きくはないだろう」って思うのである。 普通はここまで巨大な人は山なんか登らないか・・・ ま、それでもただ山に登る分には構わないが、今回はビレイ(確保)して頂く機会があるかもしれないので 出来るだけ真実を伝えなくてはならない。 でも安藤さん、真実を知ってやっぱり驚きは隠せなかったでしょうね(笑)。 と同時に「ザイルを9ミリにしといてよかったぁ」と心から思ったに違いない。 (沢は8ミリのザイルが基本なんだそうです) そして安藤さんの友人のかっしぃさんが登場して にょんまいカーで後山林道へと向かう。 巨大な私が後部座席に乗ると視界が妨げられたり他の人が窮屈な思いをするので助手席へ座った (って別にわざわざこんな事書かなくてもいいんだよな) 後山林道は終点手前が工事中なので途中までしか行けないと事前に情報を入手していたので (やっぱり安藤さんさすがです) 半分程進んだ塩沢橋を過ぎたあたりから駐車出来そうなスペースをチェックしつつ、行けるところまで行って車を置いた。 そこから緩い勾配の林道をてくてくと30分ほど歩き、林道の終点まで来た。


三条大滝
< いよいよ沢登り >
青岩橋を渡ってすぐに河原へ下りるとそこで準備にとりかかる。 ネオプレーンソックスを履き、渓流シューズに履き替える。 にょんまいさんたちを見てると上下雨具を着込んでいる。 雨具のズボン履いたらスパッツは要らないかな?と勝手に思い込んで履かなかった。 これで寒かったら明日は履こうって考えてた。 上下雨具を着て、ハーネスを付けて、ヘルメットを被る。 そして安藤さんから安全環付カラビナを付けた120cmのスリング(テープを縫い合わせて輪にしたもの) と御守として予備のカラビナを1枚お借りしてハーネスにぶら下げる。 よーし、準備は出来たぁ。 そこから少し歩いていよいよ入渓。ドキドキ。わわっ、足を沢に入れちゃったよーん。♪ 子供の頃にやった長靴を履いて水溜りの中にバシバシャ入って行く、あんな感じで嬉しかった。 入渓してまもなく三条大滝が現れる。 釜(深い滝壺)を見ると濃い青というか緑というかとにかく深そうだ。 右側をへつって(水際をトラバースすること)滝の下まで行き、そこから直登する。 にょんにょんさんはサクサクッと登った。 次にまいまいさんがへつるが滑って釜に落ちた。 しかし、まいまいさんは慌てる様子もなくこれも計算の内とばかりに悠々と泳いであがった。 これを見ていたかっしぃさんと私は緊張がほぐれて助かったねって言った。落ちて当たり前って思えばいいんだ。 (まいまいさん、勇気をありがとう)とはいえやっぱり深そうな釜を見ると落ちたくないなぁ・・・ 一応デジカメ持って来たんだよねぇ。二重のジップロックに入れているとはいえ不安だし。 という訳で滝の下で初めてアンザイレン(ザイルで体と体を結ぶこと)。 取り付いてみるとホールド(手掛かり)、スタンス(足掛かり)共にしっかりしてて何の不安もない。 ガシガシ登って滝の落ち口まで来ると水流に体をとられて上半身がぺちゃと潰れて顎が落ち口直前に付いた。 早速滝の洗礼を受けた。「うわーっ!凄いっ凄いっ」滝って凄いパワーなんだなぁ。 初めて感じる滝の威力に驚いた。 その後、安藤さんが「流れの中に足を置くときは途中で流されないようにしっかりと踏んで」とアドバイスしてくれた。 なるほど。その後何度もその言葉を実感した。 そして6mのトイ状の銚子の滝にやって来た。これは大きい。 両側の壁もハング(岩が垂直以上に覆いかぶさった状態)しててこりゃムリだぁ。 銚子の滝をバックに写真を撮る。 しかし、やっぱり私は写真が苦手。滝に体を向けて顔を隠す(笑) ああ、でも今回は顔よりももっとやっかいな「体型」が写っちゃうんだよなぁ・・・ これがちょっと憂鬱だぁ・・・巨大ですいません・・・

 
銚子の滝
今回もやっぱり貞子:まいまいさん(猫)の左にチラと見える緑のメットがσ(-_-)
< 三条ノ湯通過 >
銚子の滝の手前に戻って滝を巻くが登山道まで出て三条ノ湯の下の橋まで歩いた。 本日お世話になる三条ノ湯を左に見て、橋の先から再び入渓。 今日は雨かもなんて言ってた割には雨らしい雨も降らず、日が射して来た。 沢はやっぱり日が射していると明るくて綺麗だ。 暫くすると2段7mの滝に来る。 下の3m滝をにょんにょんさんが滝右側から登って行く。 次にまいまいさんが登って行くが、途中から右側の壁を巻いて(滝を回避すること)行く。 先に滝の上部に辿りついた安藤さんはにょんにょんさん と同じルートを指すのでこちらから登るが、途中でかぶり気味になって悩んだ。 ここはアンザイレンされてないんで冒険という訳にはいかないなぁ。 下をチラッと見ると 落ちても釜には落ちないなぁ、こりゃ岩に激突だと思って、結局少し戻って まいまいさんと同じルートで右壁を巻いた。 安藤さんとかっしぃさんは左側から登ったらしい。 2段の滝という事ですぐに次の滝が待ち構えているが次の滝は大した事なくサクッと登れる。 その後、小滝やナメが次々に現れ、紅葉を愛でる余裕も出てきて景色を楽しんだ。 ふと行く先を見るともの凄い勾配の壁が待ち構えていた。「げっ。あんなとこ行くのかよっ。」 と思ったらその手前で左俣(下流から見て左側の沢)に折れた。ふーっ、よかったぁ。 しばらく私の後ろにかっしぃさん、そして最後に安藤さん と続いて歩いていたけど途中、振り返っても安藤さんの姿が見えない。 かっしぃさんと「あれ?」ってちょっと待ってみたけどなかなか来ない。 これまでも安藤さんはザイルを収納したりして止まっている時が度々あった。 だからきっと、何か記録でもしていると思ってまた前に進んだ。 しかし、多分、きっと、絶対・・・・ 安藤さん、この時滝壺に落ちてたんすね・・・・


銚子の滝
< 本当の試練はこれから >
ワサビ田が見えて来たということはそろそろ沢も詰めの段階だ。 渓流タビのにょんまいさんたちはここで登山靴に履き替える。 私は面倒だったのでそのままで行く事にする。 そしてここからが私の最大のガッツなのだ。 なにしろ、私、登りが大の苦手。普通の人の半分くらいのスピードしか出ない。 しかも詰めなんて急勾配だっつーのに。 これだけ重いんだから当然といえば当然だけど。 あっという間にパワーが落ちてバテバテ。 勾配はどんどんキツくなって私は気が遠くなって行く(笑) このまま頑張れば何気に稜線にひょこって出るのかなって思ったらそれはとんでもない誤算だったようだ。 大きな涸滝とか出てきちゃったよ。 アンザイレンでの涸滝越えを何本かこなす。 途中、私が登ろうと上にいる安藤さんにコール(合図)を送ってすぐ、ホールドがガバッと剥がれて 50センチくらいの岩が私の右足の上に落ちた。 「うっ・・・」その岩は割と脆くて私の足に当たっていくつかに割れた。 暫くじーーーーーーんとする痛みに耐えた。 まいまいさんが「大丈夫?」と心配してくれたけど 「でもここ、安藤さんがさっき不安定って思いっきり言ってたよ」 って言われて 「うわっ、ごめんなさい。寝てたかも」実はこの頃とっても眠かった・・・・反省。


2段7m滝(上部4m部分)
< マントル級の大ピンチ >
私にとって、そして安藤さんや にょんにょんさんにとっても最大級のピンチがやって来た。 10m以上はあるかなと思う涸滝で下の方は割とガシガシっと登れてしまうが上部へ来ると落ち口1メートル足らずのあたりで行き詰まる。 安藤さんがまずフリー(確保されていない状態)で行く。 ちなみににょんにょんさんは左の草付き(泥壁に草が生えているところ・急斜面)を高巻いて(大きく回避する)いった。 「えっ?こんなとこを行ったの?にょんにょんさんてば凄すぎる」 って思って感動してた。 落ち口1m足らずのとこで安藤さんの動きが止まった。 まいまいさんとかっしぃさんと喋ってたけど まいまいさんが心配顔になって来て「安藤さあ〜ん、大丈夫ですか〜あ?」 と声を掛けると「うーん。ちょっとマズいですね」と安藤さんは困ってるけど冷静に答えてる。 そしてさっきから固まってる。(これをまいまいさんはセミになってると言った) そのうちまいまいさんが凄く真剣な顔になったんであ、これはヤバいのかなと感じた。 それでも私は「安藤さんがダメだったら何処から出るんだろうね。」とのほほん調子。 (安藤さん、ごめんなさい) 能天気かと思うかもしれないけど安藤さんだったら絶対大丈夫なんて思ってたから。 けれどそんな私の考えとはウラハラにまいまいさんはどんどん焦っていく。 今考えるとよっぽどヤバかったんだなぁ・・・ でも先ほど左から高巻いたにょんにょんさんが上からスリングで 安藤さんを引っ張りあげて事なきを得た。 そして安藤さんがザイルを出し、下に居るまいまいさんと結ぶ。 そのザイルの中間にエイトノット(8の字結び)の結び目を作ってザイルとハーネスを 安全環付きのカラビナで結んだかっしぃさんがまず取り付く。 どうやらかっしぃさんは何も問題なくこなしてしまったらしい・・・ 次に続くこの私こそが今回の最大のピンチだったりして・・・ 落ち口1m足らずまでは特に問題なく登れたけれどやっぱりここから先は手強かった。 外傾したスタンスに左足を乗せ、右手にはしっかりとしたホールドを掴んだ。 でも、この先がどうにもならない。スタンスがないっ。 何処を探しても苔、苔、苔・・・うわーん、どうしよう。 そのうちに左足のふくらはぎがぷるぷるして来た。 「こりゃマズいっ・・・」いくら上で引っ張りあげるといってもこの巨大な私。 そうそう、引っ張れるもんじゃあありません。 それだけじゃなく、もしかしたら安藤さんを引きずり込んじゃうかもしれない。 そう考えると安易に「降参」は出来ない。 「右のホールドに足が届く?」「とっ、届くけどギリギリで自分の体重を支えるのは無理です・・・・・」 引っ張るにしてもある程度自分を支える事が出来ればなんとかなりそうなんだけれどそれもムリっぽい。 下から見ていたまいまいさんは無理と判断したんだろう、 「無理だったら安藤さんにお願いしたほうがいいよ」って声を掛けた。 「・・・。無理ですぅ。助けてください・・・」 「じゃ、体重を全部預けないで何処かにつかまって」 って言われたけどホールドを模索している状態で 少し引っ張り上げられたので何処も掴めない状態になってしまった。 まさに全体重をかけてしまっている状態。 もうこりゃ地引網状態。 しかし流石にこれはちょっとマズいんで「ちょっと待ってくださーい、少し下に降ろしてくださーい」 と先ほどの外傾したスタンスに左足を再び乗せてホッと息をついた。 とりあえず右のホールドに足が届くまで引っ張ってもらうしかない。 今度はムーブ(動作)を考えてから再び「お願いしまーす」と引っ張ってもらいなんとかホールドに足を乗せ自力で支えるまでになった。 壁は苔で滑るし、本当に大変だったと思う。 安藤さん、にょんにょんさん、ごめんなさい・・・ 上に上がると安藤さんとにょんにょんさんの危機感が伝わった。 「マントルまで引きずり込まれるかと思ったよ」 (笑) 肩がらみ(確保器を使わないでロープと体の摩擦で制動をかける)でビレイした安藤さんの肩にはマリアナ海溝のような溝が出来たに違いない(汗) いやー、すいませんです・・・・ ザックよりも自分自身の軽量化が大切だぁ・・・ そして最後のまいまいさんは特に問題なくクリア。 さすがです。 こうしてマントル級のピンチは去ったけれど先はまだまだだった・・・・


よっと足をのばしてホイサッサ
< 波乱の詰め >
その先も脆いルンゼ(ガレ沢)が続き、私、まいまいさん、安藤さんと だんご状態で登っているので落石は起こせない。 掴む岩、掴む岩がボロボロと剥がれたり、浮石だらけでズリズリ落ちてなかなか前に進めない。 勾配もどんどんキツくなってバテバテ。 にょんにょんさんとかっしぃさんはずっと先を行って全く見えない。 一体何時になったら登山道に着くんだろう・・・ そのうち草付きの泥壁になって来て気がつくともう空はかなり暗い。 ズルと滑落。 ああ、下のルンゼまで行っちゃうの?って思ったらふいに止まった。 まいまいさんがとっさに腕を私の股に突っ込んだ。 ああ、こういう助け方もあるんだぁと私はまいまいさんてさすがだなぁと感心した。 って感心してる場合じゃないよ、ありがとう。 まいまいさんもあの体制からじゃキツかったでしょうね。すいません。 直登は無理なので小刻みにトラバースを繰り返し、高度を上げて行く作戦になった。 トラバースといっても1mほど先にある枝に飛びつく。 しかし、何度チャレンジしてもズルズル滑ってどうしようもない。 安藤さんは「体が滑る前に次へ行け」って言うけど・・・・ まいまいさんは左にトラバースしようとする私と違って右側から登りはじめる。 そしてどうやら上の方へ抜けたので私も後に続く。 でも私はなかなか先に進めず困り果ててしまった。 掴む草という草は全て抜けてしまうし。 そうこうしてるうちに視界はすっかり暗くなって何がなんだかわかんなくなった。 一足先に登山道に到着したにょんにょんさんがヘッデンをこちらに向かって照らしてくれると 距離はあと僅かだとちょっとだけ安心するけどそのあとちょっとがどうにもならない。 掴んではズルズル掴んではズルズルを繰り返し精神的にも参って来た。 バイルが欲しいよー! 私の後ろに居た安藤さんが先行し、指示を出し、 スリングで引っ張ってもらってどうにかこうにか主脈縦走路の木道に乗り上げたのだった。 こうしてとりあえずの危機を脱したのは安藤さんのお陰だった。ふー・・・・


大ワサビ田
< 北天のタルへ >
しかし、のんびりしているヒマはない。三条ノ湯には予約を入れてあったので何とか連絡したかったが生憎携帯は通じない。 という訳でにょんにょんさんとまいまいさんは先発隊としてすでに三条ノ湯に向かっていた。 暗闇の中で安藤さんと私を待っていてくれたかっしぃさんと合流。 安藤さんはテルモスから暖かいコーヒーを注いでご馳走してくれた。 あー、生き返る! ここでヘッデンを装着する。が、私のヘッデンがどうもイマイチ暗い。 安藤さん、私、かっしぃさんの順で三条ノ湯を目指す。 が、後は三条ノ湯まで下るだけって勝手に思ってた私はどんどん登ってゆく登山道に不安を覚える。 登りの苦手な私はたちまち遅れをとる。そういえば三条沢の遡行図って沢ばっかり見てて詰めの部分をあまり見ていなかった。 北天のタルへ向かっている事さえもわかって居なかった。三条ダルミに向かうものだとばかり思い込んでいた。 こんなんじゃ失格だね。 この地獄の登りが何処まで続くのか検討がつかなかった。 しかもヘッデンが豆電球のように暗くて歩くのが困難。電池を取り替えても変化はなく、使い物にならなかった。 そこでかっしぃさんがしていた安藤さんからの 借り物・ペツルのティカを私が借りて安藤さん、 かっしぃさん、私と順番を変えて歩く事になった。 私のクリプトン球と違ってLED(発光ダイオード)は明るく、足元をしっかりと照らしてくれるのだった。 夜道を歩くなんて経験がないのでヘッデンに対しての考えがいかに甘いか反省した。 よーし、ティカ買うぞー!多少のガスと小雨の中の登りを私は「下りはまだか?」って思いながらひたすら歩く。 安藤さんが行動食にコンデンスミルクのチューブを回してくれた。 これがめちゃくちゃ美味しかった!コンデンスミルクは私も普段持って行ったりするけれど美味しいなんて感じた事はない。 本当に疲れてるって事か。そしてようやく下降となる分岐点、北天のタルに到着!1時間くらい登ったろうか。


涸滝を登るまいまいさん
< 長い長い下降 >
「ああ、ここが北天のタルかぁ。じゃ、後は下るだけだぁ」 苦手な登りが終了した事は本当に嬉しかった。 この登りのお陰で随分時間食っちゃったろうな。 安藤さんやかっしぃさんに申し訳ない・・・ 今度はかっしぃさんがキットカットチョコを分けてくれた。 これも本当に美味しかった。私はと言えばウィダーインゼリーとチーズくらいしかなかった。 こういう時は甘いものがいいよね。ああ、反省。 チョコをかじりつつ、今度はどんどん下る。 先ほどまで遅れ気味だった私も今度は大丈夫。 前を歩くかっしぃさんの足元を照らさなくてはと余裕も出てきた。 はじめはかっしぃさんのすぐ後ろを歩いていたけどそうすると かっしぃさん自身の影で足元はおろか、周辺までもが 見えなくなるんじゃないかとちょっと間を空けて歩いた。 でも安藤さんの「すぐ後ろから足元を照らして」という指示ですぐ後ろを歩く事にした。 北天のタルからの下降は急で沢山の葉が落ちている上に小雨の中を渓流シューズで歩いていたのでところどころでツルッと滑る。 目の前のかっしぃさんが一瞬にして消えた。 あっと思った時は暗闇の斜面に滑落していくとこだった。 私は何も出来ずにかっしぃさんが落ちて行くのをじっと見ているしかなかった。 「どうしよう・・・」と思ってると運良く、本当に運良く、かっしぃさんの落ちた下に樹が生えていて 滑落はそこで止まった。かなりの勾配だけれど笹を掴んでかっしぃさんは自力で脱出して来た。 その場面を安藤さんは冷静に写真を撮ってるではないか。 かなりヤバい場面だったのに安藤さんのその行動が私に落ち着きを与えてくれた。 本当に安藤さんは凄い人だと思った。 当のかっしぃさんもワリと元気で(ってきっと突然の出来事で本人も実感わいてなかったんではと思う) 我々は再び下降を続けた。 安藤さんがちょっと危険だなと感じるところでは後続の2人を止め、様子を伺いながら歩いて 振り返ってかっしぃさんの足元を照らしたり、私がかっしぃさん の横にひょいっと頭を出し、足元を照らすといった事を何度となく繰り返し、細い登山道をなんとか高度を下げて来た。 私も途中でスッテンと転んでお尻が着地すると足がブラブラしてて見ると半分谷に体が落ちてたりして怖い思いをした。 かっしぃさんならともかく、私だったら落ちたが最後、ひきずってもらえる訳がなく絶望的な運命を辿りそうなので 気が抜けない。 もの凄く集中して下降した。 その後もかっしぃさんと私は何度も滑っては転んだ。下っても下ってもなかなか三条ノ湯は見えて来ない。 長い時間の末に時々、チラチラと樹々の間から下の方に灯りが漏れてるのを見つけた時は本当に嬉しかった。 一瞬で消えてしまうので確信が持てず、でもかっしぃさんも見たっていうので やっぱりあれは小屋の灯りだよねって言って最後に灯りを見つけた安藤さんはにょんまいさんたち に向けてホイッスルを鳴らした。 にょんまいさんたちが小屋の前から頭上の登山道に向かってヘッデンで合図をよこす。 「安藤さあーーーーん!」 北天のタルから2時間ほど下ってようやく三条ノ湯に生還!登山道に出てから実に3時間の行程だった。


滑落しつつも自力で登るかっしぃさん
< 三条ノ湯の方たちに感謝 >
9時過ぎ、三条ノ湯に到着するとにょんまいさんたちと一緒に小屋の方たちも心配して待っていてくれたのだった。 頭を下げて謝る私たちに小屋の方たちは「本当によかった」と喜んで下さった。心配をかけてしまって申し訳なかったなぁと思った。 すでに消灯を回ってたけど小屋の御厚意によってヘッデンの灯りを頼りにしながもお風呂に浸かれることになったのは非常にありがたかった。 普通だったら暗闇の中でのお風呂は怖いとこだがこの時は本当にリラックスして入る事が出来た。 心から感謝します。 三条ノ湯は部屋の入口が外部に面しており外からいきなり部屋に入る仕組み。 荷物の整理に手間取ってみなさんを待たせてしまって部屋に入った時はもうすでにビールで乾杯した後だった。(すいませんでした) にょんまいさんたちが段どりよく缶ビールを確保していてくれたのだった。 改めて乾杯!「お疲れ様でした」って事で飲むビールは普段あまりお酒を飲まない私でも天国に昇るような美味さだった! 「プハーっ♪」 夕食が食べれなかったのでみんなでカップラーメンを食べた。でも私は疲れていたからあまり食べれず。 その後は食べたり、飲んだり、お喋りしたりして楽しい時間を過ごした。 安藤さんは燃料にもなりそうなきっつーいテキーラをお持ちでした。 私は飲んだら即意識を失いそうだったので味見は遠慮しましたが・・・(笑) しかし疲れていたので夜のささやかな酒盛りもわずかの時間でお開きとなってすぐに眠りに落ちていったのだった。


紅葉を愛でつつの下山
< 下山 >
翌日。 どうやら天気は快晴だ。 今日は青岩谷を遡行する予定だったけどもう夕べの時点で沢は中止にしていた。 1日で2日分の内容濃い遡行が楽しめたのだから。 行けたら普通に登山道で雲取山という事だったのだがみんなもう満足しているのか下山ムード一色。 まいまいさんは足を痛めてるし、私も実は昨日左足をちょっとひねったらしく 北天のタルからの下降時、時折足首がズキズキしていたので出来れば遠慮したかった。 にょんにょんさんはちょっと残念そうだったけどね。 ごめんなさい。ゆっくりと小屋の朝食を頂いた。 随分と少ない量だなぁって思ったけどあんまり食べれず・・・。 みなさん、美味しそうに食べてますねぇ。 「えびさん、少食なんですねぇ」とか言われちゃうし(汗) 普段はこの体型が物語るように大食いなんですよ。 ただね、疲れちゃったりしてると食べれないだけなんです。 別に少食ぶってる訳じゃあないっすよ。(笑)その後、紅葉を愛でながらゆっくりと下山。 登山道からは眼下に昨日の三条沢が見え、昨日の遡行を振り返った。 1時間ほど歩いてにょんまいカーにたどり着く。 奥多摩周辺をドライブしてからにょんまい邸の近くにあるという「多満自慢」で知られる 石川酒造に行った。


石川酒造
< 打ち上げ >
ガーデンレストランで美味しいイタリア料理と地ビールに日本酒で打ち上げ。 昼前から飲み始めて楽しいお喋りで時が過ぎ、気が付いた頃にはもうかすかに日が傾いていた。 それにしても安藤さんとまいまいさんはお酒が強い。 強すぎる。約4時間居たと思うけどずーーーーっと飲んでいた。 いや、飲むだけじゃなくてずーーーっと食べても居た(笑) まいまいさんはそのうち眠くなったみたいだけれど 安藤さんは見た目には全く変化はなく、やっぱり歩くスーパーカミオカンデなのだと実感した。 (注:スーパーカミオカンデのように50000トンもの容量の酒が飲めそうってこと) これは肝臓トレーニングは沢よりキツいかも!? 安藤さんは真面目な顔をして 「えびさんは最近ガッツですね。こうなったらHPのタイトルを変えましょう。 【ガッツ登山・君はなぜ沢に登るのか】がいいですね。」 とサラッと言ったりするので私はツボに入ってしまって暫く笑いが止まらなかった。 もう最高です♪(ちなみに本家はこちらです) 安藤さんやにょんにょんさん、 まいまいさん、かっしぃさんとのお喋りは本当に楽しかった♪ その後、にょんまい邸にお邪魔させて頂いた。 そして、愛猫のになとジルとご対面! 【にょんまい山日記】で見ていたになジルを生で見たのだった。 いやー、かわいかったっす。私たちと思いっきり遊んでくれて嬉しかった。 になちゃんはトコトコと私の膝の上にやって来てストンと落ち着いちゃってくれてかわいかったぁ・・・ 犬の方が本当は好きな私だったけれどこんなにかわいい猫を見せられちゃあ猫の方に軍配が・・・ コーヒーをご馳走して下さってありがとうございました♪ 帰りの駅でかっしぃさんと別れ私は安藤さんと一緒の電車だった。 その際、いろいろ反省点やアドバイスをしてくれました。 今回は全くの初心者は私だけで本当にみなさんにご迷惑をかけてしまって 申し訳ありませんでした。 考えてみたら私、クライミングはおろか岩稜の山に登った経験も殆どないんですよねぇ。 せいぜい西穂程度(笑)無謀だったなぁ。でも、沢登りの楽しさを教えて頂いてこれからも頑張りたいです。 またご迷惑をお掛けしてしまうかもしれませんが宜しくお願いします。 まずはこのマントル級をなんとかせねねばなーーーーー・・・


にな と ジル